東京医科大学八王子医療センター移植者協議会「やまゆり会」会報に掲載したものをこちらに掲載します。

 以前から参加したいと思っていた移植コーディネーター研修会に、今回参加させて頂くことになりました。
名古屋でしかも3日間の研修なので、子供の事など色々問題はありましたが、「行くからにはしっかり勉強しておいで」と主人や母から後押しされて、何とか体調もキープしつつ、当日を迎える事が出来ました。
 研修会1日目の朝、会場に到着するとすでに満席。皆さんの気迫に圧倒されたまま、後ろの方に座りました。
今日の講義は「臓器移植総論」に始まり、「移植コーディネーターの役割」「臓器移植に関連する法律」「自己紹介」等でした。
 移植総論では、最初から心移植のビデオを見たり、脳死の実例を元にお話があったりと、かなり刺激的な講義でした。自己紹介では、ほとんどの方が看護師で、一般からの参加は私だけでした。レシピエントとして参加している方があと二人ほどいらっしゃいました。一人は移植後に看護師になられた方でした。すごいなぁ!
 研修会2日目は脳死や免疫に関する講義と、使用薬剤等でした。 免疫に関する内容は、サイトカイン、インターロイキン2等、聞いたことのない単語の羅列で、テキストをよく見たら「臓器移植を理解する上で必要最低限の知識」とて書いており、素人にはやはりわからないことなのかな、と思いましたが、わからないなりにもメモを取り、ついて行くのに必死でした。使用薬剤の講義の時は、自分自身で使っていた薬の事ばかりだったので、こういった理由でこの薬を使っていたのか、と理解することが出来ました。
 いよいよ研修会も3日目となり、ホテルもチェックアウトしての参加です。
今日の講義は「臓器移植のメンタルヘルス」「移植後の感染症について」「レシピエントの術前、術後のケア」の三本立てでした。やっぱり自分がレシピエントであるということで、特に知りたい内容でした。
わくわくしながら講義を受けましたが、今日もやはり専門的な内容で、メンタルヘルスといっても、移植直後の話がメインで、講義自体はとっても興味深いものだったのですが、10数年が経過した私には、あまり役に立つ内容ではありませんでした。移植後の感染症については、講師のドクターが肝移植を担当されている方なので、主に肝移植の患者さん向けでした。 肝移植のことについては全く知らない事ばかりだったので色々と勉強になりました。
  最後の術前、術後のケアは、一番興味があった講義で、かなり深い所まで講義されるのかと思ったのですが、自分がレシピエントだったので、移植の流れとか、ケアされてきたことや自分が体験して知っている、という内容ばかりで、知識の再確認といった感じになりました。
  自分が一番知りたかった慢性拒絶に対応する内容がどの講義でもほとんど見られず、残念に思うと同時に、移植の大事な時期は3年目くらいまでなんだ、と実感して帰ってきました。
  3日間の講義を総合的に見て、これを受ければ移植コーディネーターになれるというのではなく、移植について広く浅く知ることが出来る研修会なんだな、と思いました。私自身としては、全く知らない領域のことも知ることが出来た事や、普段会えない地元の友達と会えたり、名古屋を満喫できたり、とても楽しく過ごすことが出来ました。講義は思ったよりハードでしたが、充実した3日間を過ごすことが出来て研修会に参加出来て本当によかったです。 
 私自身、1992年に献腎移植が出来てから今までの10年は、まさに激動の10年でした。何も考えられずに突っ走って来たけど、移植が出来たからこそ「今」がある。移植が出来たからこそ「生きている」ということを精一杯楽しむことが出来る。 これからも勉強会に出席したり、啓蒙活動をしたりと、移植者である自分自身が、もっともっと社会に訴えていくべき、と新たに認識しました。これからは自分の出来る範囲でどんどん語っていきたいと思っています。だって、語れるのは「私」だから。

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