これからの腎移植(学習懇談会)
日 時:2003年5月11日(日)9:30〜12:00
場 所:東京医科大学八王子医療センター 講堂
    八王子市館町1163 TEL:0426-65-5611

司会:窪田さん(移植コーディネーター)
* * *
今日は朝からたくさんの方が来て下さいました。私達はちょっと遅刻気味に行ったのですが、空いている席を探すのに一苦労、といった感じでした。講堂は満席に近い状況でした。
講演1 「透析と腎移植-自分らしく生きるために--」
   岡本 明子氏(やまゆり会会員 看護師)
1986年12月、当時13歳で献腎移植を受けられ、その後看護師として御活躍されていたやまゆり会の会員でもある岡本明子氏(1973.8.13生まれ 福井県在住)を講師に招き、透析時代から移植後の生活、その後透析に戻りながら透析クリニックの看護師として働きながら献腎移植のチャンスを待ってらっしゃる現在の生活、彼女が歩んできた人生を振り返りいろいろな経験を語っていただきました。
彼女の発する一言一言を皆、食い入るように聞いていました。
「教科書には”透析”は”延命治療”としか書いていない」というひとことがあまりにも重く心にのしかかりました。
自分は何のために生きているのか、ただ延命しているだけ?と思っていた頃もあったようですが、今は「今を生きる」為に精一杯やりたいことをがんばって人生を生きている途中、とおっしゃっていたのが印象的でした。
岡本さん、素晴らしい講演をありがとうございました。
講演2 「腎移植の現況と今後の展望」
   長尾 桓先生(移植一般外科 教授)

最近の腎移植の動向について臓器移植一般外科部長の長尾教授にご講議いただき、皆様方からの御質問等にお話の途中、途中でお答え頂きました。
講演の全てはここには書き記せませんが、印象に残ったというか、気になった事だけ記載します。
昨年から献じん移植がポイント制になったということ。

献じん移植レシピエント選択基準
1.前提条件
(1)ABO式血液型の一致
(2)リンパ球直接交叉試験陰性
2.優先順位
(1)搬送時間(阻血時間)
(2)HLAの適合度
(3)待機日数
(4)小児待機患者(16歳未満)


以上のポイントを元にコンピュータがデータをはじき出す方法に変更になったとのことでした。
献じんに関わる費用についても、私自身初耳だったので、ここに記載しておきます。

献腎移植に要する費用(ネットワーク関係)
初回登録時:¥30,000円
登録更新時:
5,000円
移植時:
100,000円+医師派遣費、搬送費

私の頃は以上の費用はゼロでした。献じん登録にお金がかかるようになった、というお話は友人から聞いた事があります。このように移植時にこんなに費用がかかるのは知りませんでした。

懇談会 全体的に移植者がばらついていたので、その場で移植について聞きたい方は、直接話し掛けて下さい、ということになりました。最初、私の周りの方は特に話し掛けて下さる方はいらっしゃいませんでしたが、コーディネーターの窪田さんから声をかけて頂いて、前に座っていた方とお話する機会を頂きました。
連絡事項と閉会の辞 定京 洋二氏(やまゆり会会長) 

最後に私がこの会に出席して感じたこと
「献じんの登録をしていても、なかなか回ってこない現実をふまえ、実際自分はどの位置にいるのか」等の質問が出ましたが、昨年からポイント制に移行した為、10年待っていても結局は同じ位置にいる、ということでした。
幸運にも献じんからの移植が出来た自分は透析の辛さもわかるし、移植の素晴らしさもわかるし、立場上辛いものがありました。もちろん、大変意義のある会だったと思うし、現実を知る事が出来て勉強にもなりました。
が、透析を受けている皆さんはどう思いながら帰って行ったんだろう、と思うとちょっぴり切なくなりました(T_T)
究極は「今は家族からでも血液型が違っていても、良いお薬があるから、生体腎移植が出来るので、ご希望の方はいらっしゃい」のような気がしてならなかったです。
もちろん生体腎移植を否定する訳ではありません。双方が納得していればいいんじゃないかなぁと思っています。(実際私もくれるという方がいれば、生体腎移植をしたかも知れないし)

自分がもし、今現在透析を受けていて献じんの登録をしていてこの会に出席していたなら、どう感じていただろう。
移植しても10年経って3割の人は透析に戻って行くという現実。それでも移植を望んで待ち続けるだろうか。
たとえ5年、10年しか移植腎がもたなかったとしても、移植する気持ちになれただろうか。
教授はその5年、10年も含めて自分の人生としてとらえてほしいとおっしゃっていました。
私は移植が出来たから、今仮に透析に戻ったとしても、その足で献じんの登録に行くつもりです。本当にいつくるかわからないけど、こういった厳しい現実があるけれど、私は献じんの登録をみなさんに勧めたいと思います。それ程移植後の人生がガラリとかわるから。
改めて、献じんで移植が出来て、元気で12年目を迎えられたということを、腎臓くんに感謝したいと思いました(^_^)/

共催
やまゆり会
臓器移植一般外科・移植検査センター
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